IT セキュリティ

通信技術を支える基本のセキュリティ公開鍵と共通鍵についてわかりやすく解説します

暗号化とは、通信の際にデータを不正アクセスから守るために使われる技術です。暗号化方式には、共通鍵方式と公開鍵方式があります。本記事では、それぞれの方式の概要や特徴、利用例、安全性などについて詳しく解説します。

共通鍵方式

共通鍵方式は、暗号化と復号化に同じ鍵を使う方式です。鍵は送信者と受信者で共有され、送信者が鍵を使ってデータを暗号化し、受信者が同じ鍵を使って復号化することで、データを安全に送信することができます。共通鍵方式は、暗号化と復号化の処理が高速であるため、大量のデータを処理する際に有用です。しかし、鍵を共有するため、鍵を盗み出されると、通信が傍受される可能性があります。

利用例

共通鍵方式は、ネットワーク上の通信に広く使われています。例えば、以下のような利用例があります。

  • SSL/TLSプロトコルによるHTTPS通信:WebサイトとWebブラウザの間で通信を暗号化するために、共通鍵方式が使われます。
  • VPN接続:企業などで、オフィス内のネットワークに外部からアクセスするために使われる仮想的なプライベートネットワーク。VPN接続においても、共通鍵方式が使われます。
  • ファイル暗号化:個人的なデータや、企業の重要な情報を安全に保つために、ファイル暗号化が行われます。ファイル暗号化においても、共通鍵方式が使われます。
  • ディスク暗号化:パソコンのハードディスクやUSBメモリーなどのデータを、不正アクセスから守るために、ディスク暗号化が行われます。ディスク暗号化においても、共通鍵方式が使われます。

安全性

共通鍵方式は、鍵を共有するため、鍵を盗み出されると、通信が傍受される可能性があります。鍵を盗み出される攻撃を防ぐためには、鍵を共有する際に、セキュアな方法で鍵を伝達する必要があります。また、鍵の管理にも注意が必要です。鍵を長く使い続けたり、鍵を使うたびに同じ方法で使うと、鍵が漏えいする可能性があります。鍵を定期的に変更することや、鍵を使うたびに異なる方法で使うことが、鍵の漏えいを防ぐために重要です。

公開鍵方式

公開鍵方式は、暗号化と復号化に異なる鍵を使う方式です。送信者は、受信者の公開鍵を使ってデータを暗号化し、受信者は、自分の秘密鍵を使って暗号化されたデータを復号化します。公開鍵は、誰でも知っている鍵であり、秘密鍵は、その鍵を持っている人だけが知っている鍵です。公開鍵方式は、鍵を共有する必要がないため、共通鍵方式に比べてセキュリティが高いとされています。

利用例

公開鍵方式は、SSL/TLSプロトコルによるHTTPS通信や、S/MIMEによるメールの暗号化、SSHによるリモートログイン、PGPによる暗号化など、様々なセキュア通信に広く使われています。

具体的には、以下のような利用例があります。

  • SSL/TLSプロトコルによるHTTPS通信:WebサイトとWebブラウザの間で通信を暗号化するために、公開鍵方式が使われます。Webサイトは、公開鍵をブラウザに送信し、ブラウザは、その公開鍵を使って通信を暗号化します。受信者であるWebサイトは、自分の秘密鍵を使って暗号化された通信を復号化することで、通信内容を取得します。
  • S/MIMEによるメールの暗号化:電子メールを暗号化するために、S/MIMEが使われます。送信者は、受信者の公開鍵を使ってメールを暗号化し、受信者は、自分の秘密鍵を使って暗号化されたメールを復号化します。
  • SSHによるリモートログイン:リモートログインを安全に行うために、SSHが使われます。SSHは、公開鍵方式を使って、リモートホストとクライアント間で通信を暗号化します。リモートホストは、自分の公開鍵をクライアントに送信し、クライアントは、その公開鍵を使って通信を暗号化します。受信者であるリモートホストは、自分の秘密鍵を使って暗号化された通信を復号化することで、通信内容を取得します。
  • PGPによる暗号化:PGPは、ファイルや電子メールを暗号化するために使われます。PGPは、公開鍵方式を使って通信を暗号化し、秘密鍵を使って通信を復号化します。

安全性

公開鍵方式は、鍵を共有する必要がないため、共通鍵方式に比べてセキュリティが高いとされています。しかし、公開鍵が本当に受信者のものかどうかを確認する必要があります。公開鍵を偽装されると、暗号化されたデータが第三者に傍受される可能性があります。このような攻撃を防ぐためには、公開鍵を公式の機関から取得するなど、信頼できる情報源から取得する必要があります。

また、公開鍵方式には、計算コストが高いという欠点もあります。暗号化と復号化に必要な処理が複雑であるため、共通鍵方式に比べて処理速度が遅いとされています。そのため、公開鍵方式は、少量のデータをやり取りする場合には向いていますが、大量のデータを処理する場合には、共通鍵方式が適しているとされています。

共通鍵方式と公開鍵方式の比較

共通鍵方式と公開鍵方式の比較をまとめると以下のようになります。

鍵の共有

共通鍵方式:同じ鍵を送信者と受信者で共有する必要がある。

公開鍵方式:公開鍵は誰でも知っている鍵であり、秘密鍵は持っている人だけが知っている鍵であるため、鍵の共有は不要。

安全性

共通鍵方式:鍵を盗み出されると通信が傍受される可能性があるため、鍵を共有する際にセキュアな方法で鍵を伝達する必要がある。鍵を定期的に変更することや、鍵を使うたびに異なる方法で使うことが重要。

公開鍵方式:鍵を共有する必要がないため、共通鍵方式に比べてセキュリティが高いとされる。しかし、公開鍵が本当に受信者のものかどうかを確認する必要がある。

処理速度

共通鍵方式:暗号化と復号化の処理が高速であるため、大量のデータを処理する際に有用。

公開鍵方式:暗号化と復号化に必要な処理が複雑であるため、共通鍵方式に比べて処理速度が遅いとされる。

利用例

共通鍵方式:ネットワーク上の通信やファイル暗号化、ディスク暗号化などに広く使われる。

公開鍵方式:SSL/TLSプロトコルによるHTTPS通信やS/MIMEによるメールの暗号化、SSHによるリモートログイン、PGPによる暗号化など、様々なセキュア通信に広く使われる。

まとめ

共通鍵方式と公開鍵方式は、暗号化と復号化の方式が異なるため、それぞれに特徴があります。共通鍵方式は、暗号化と復号化の処理が高速であり、大量のデータを処理する際に有用です。一方、公開鍵方式は、鍵を共有する必要がなく、セキュリティが高いとされていますが、処理速度が遅いという欠点があります。どちらの方式を使うかは、通信の目的やセキュリティ要件によって異なります。共通鍵方式と公開鍵方式を使い分けることで、よりセキュアな通信を実現することができます。

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